Peeling City 記事一覧
失われていく風景をとらえる写真家・新納 翔が 記録する東京。
毎回のコラムで、撮り下ろし写真を掲載します。
2017.7.15 New!!
第22回 プリズムが本質を暴き出す、カメラという機械の恐ろしさ
「写真家がその瞬間をプリントに封じ込めるという作業は、時間の流れが違うパラレルワールドをそこに作り出しているようなものなのかもしれない。そう考えれば、プリントは現実と違う時間が流れる並行世界だということができる。」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
<過去の記事>
2015.7.25
序章 写真家は今、複製ロボットになるべきなのか
2015.8.20
第1回 記念写真は馬から落馬する
2015.9.24
第2回 私は目撃者、いつの日も世界はハレとケが同時進行している
私たちが普段生活する風景には、ハレとケが混在しています。
写真家として、どのようなアプローチでその風景に迫り、記録していくのか。
「私の撮りたいと思う気持ちの先にはまず、誰よりもそれを見つけ、己が目で見たいという覗き魔的欲望がある。写真はその証拠にすぎない、いわば副産物だ。」(コラムより抜粋)
撮り下ろし写真を5枚掲載。
2015.10.30
第3回 スナップに偽善は不要、街は狂気で溢れている - これだけは守っている5ツの事
新納流ストリートスナップの作法です。
写真家として、譲れない美学がそこにあります。
撮り下ろし写真5枚を掲載しています。
2015.11.29
第4回 品川湾岸道路 - 認識論。そもそも私は中側にいるように強いられていた
いつの間にか迷い込んでしまう、私たちの身近にひそむ「切り離された空間」について。品川湾岸道路が舞台。
撮り下ろし写真4枚を掲載しています。
2015.12.27
第5回 随分ながく誤解していた、喪失感の本質
「限られた時間の中で写真家という存在は、不本意ながら従来均等であったはずの景色の価値に故意の差異を与え、オミットされた景色はあたかも知らなかったかのようなふりをして、己れの均衡を保たざるを得ない。」
日々破壊と生成を繰り返す都市の景観に抱く「喪失感」がテーマ。
与えられた景色を恣意的に切り取っていく「写真家」としての、ある種の諦念の先にある、静閑な覚悟とは。
撮り下ろし写真を5枚掲載しています。
2016.1.31
第6回 都市の次元を奪う、破廉恥な光
「都市をここまで辱める光、これこそがPeeling Cityの本質なのだろう」
都市を記録する写真家が、豊洲新市場を歩きながら茫漠と思いめぐらすこととは何か。
撮り下ろし写真を5枚掲載しています。
2016.3.2
第7回 曇天の国道1号線に都会の闇を見る
「極稀に曇天がしっくり来る街が自分の中にある。それが鶴見や川崎であったりと国道1号線沿いに点在しているのは何かの偶然なのだろうか。」
撮り下ろし写真を3枚、掲載しています。
2016.3.31
第8回 写真家がいるとしたらカルバンは嘘つきだ
写真とは、既存の景色を切り取り「芸術」に昇華する行為ですが、果たして写真家はどれだけその行為に自らの意思を介在させうるのでしょうか?
撮り下ろし写真を6枚、掲載しています。
2016.5.7
第9回 「中」にいることの恐ろしさ
「そういう時だけ写真家になって、いつもとは違う眼になる。とても些細な事象でも妙に美しく感じたり、鋭利になった感覚は普段見過ごしてしまうものの裏側までをも凝視する」
記録する宿命を背負う者として都市と対峙する時に、いやおうなく眼前に突きつけられること。新納的都市論。
撮り下ろし写真を5枚、掲載しています。
2016.6.2
第10回 街を撮る写真家が無意識にボヴァリー夫人
「よく山谷や築地を撮り始めるにあたり何がきっかけだったのかと問われることがある。貧困の是正、移転問題の真相、自分はそんな偉そうなことは何一つない。ただ、共通して言えるのは言葉にできぬほどの強い声をアンテナがキャッチしたということだ。」
撮り下ろし写真を5枚、掲載しています。
2016.7.5
第11回 写真家とSNS / 写真の著作権を放棄せよ
「一度考えてみて欲しい。写真たるは我々が無許可に、カメラという魔法の機械でもって本来あるべき場所から景色を勝手に盗んできたものであるということを」
ウェブ上の写真の著作権を考察し、写真の本質を問う、ラディカルで煽情的な内容。時代を鋭い感受性で捉えています。少しでも写真に関わっている方は、必読の記事。
撮り下ろし写真を6枚、掲載しています。
2016.8.3
第12回 渋谷に訪れる斜陽 都市力と再開発の比例問題
「このところ渋谷にいても居心地の悪さを感じなくなってきた。あれほど渋谷に近づけなかった自分がこうして撮影できているのは、明らかに都市力が変化しているのに間違いない。」
撮り下ろし写真7枚を掲載しています。
2016.8.31
第13回 街の本性が現れるギラついた夏の陽
「アスファルトからの照り返しのせいか、体感温度はもの凄く暑い。1時間も歩いていると体力的なものよりも精神的な疲れが来る。「こんな事、誰からも頼まれていないのに」と一人行き場の無い文句を言いながらそれでも歩き続ける。それと同時に感じる満足感。アスファルトを貫通して大地と繋がるようなそんな感覚」
撮り下ろし写真7枚を掲載しています。
2016.9.30
第14回 VR ZONE -仮想空間から戻れなくなる日は既に来ていた
「地に足が着いていない感覚、駅に向かう人がまるで別次元の人のように、まるで現実世界のほうが架空空間であるような認識を抱いてしまったのだ。そんな状態が恐ろしくも数時間続いた。」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
2016.10.4
第15回 情報化社会に奪われた次元を我々は取り戻せるのだろうか?
「こうして格差が格差を生み、情報はその上辺だけの文字列にだけしか意味をなさなくなる。もはやそれは記号でしかない。そうしてインターネットの世界をめぐる巡って希薄化された情報が流れてくる。なんだかかつて黄金の国ジパングが東方にあると伝聞されていた中世の社会のようではないか」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
2016.12.2
第16回 デジタル時代が引き起こす、絵画への回帰現象
「街を撮っていても被写体を探すのではなく、被写体からやってくるという考えもあって、肩越しに見えた素晴らしい景色もすれ違ってしまった以上踵を返して撮りに後ずさりすることはしない」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
2017.1.9
第17回 写真と僕を結ぶ「すとん」のハナシ
「撮る側にとって、視覚情報よりも実は五感におけるその他の感覚のほうがより重要なファクターであることは言うまでもない。「見る」ということは写真行為においてさほど重要なことではないのかもしれない」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
2017.2.11
第18回 来るべき2045年 人口知能が写真家を駆逐する日
「おそらくコンピュータに人間のような写真が撮れないと考えるのは、独創性、感情から生み出されたもの、時に無駄なことといった曖昧なものが作品を支えているという想いであろう。果たしてそういう曖昧なファクターは本当に数値化できないのであろうか?」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
2017.4.4
第19回 虚偽を量産するデジタル写真の価値
「少なくとも僕には写真はまさに、虚偽を作るものだと思っている。フレームによって切り取られた写真の景色は、かつてあった景色から切り離され不連続なものとなり、周囲との関係を強制的に一切を絶たれ、時を止める。写真てのはその切り離されたものを見て読み取れなんていうものだから、僕にはどこか信用できないものに思えてしまうのである。」
撮り下ろし写真7枚を掲載しています。
2017.5.17
第20回 フロイトと虚偽の中の真実の私
2階をひとしきり見ると、奥まったところにいかにも開けてはならぬ半透明の扉を見つける。紗がかかったそのドアの向こうには老婆がいるのがなんとなく見える。ここを避けては通れまいと、飲食店だと間違えたような体でドアを開けた」
撮り下ろし写真7枚を掲載しています。
2017.6.7
第21回 市場移転問題 ー 歴史の地層を掘り起こす考古学者と眠れる巨人
「こうなってくると土壌汚染や政治問題とは違う、人間の存在をずっと超えた見えない巨人が築地と豊洲の間に大きな壁を作ってしまったのではないかとさえ思われる。きっと専門家を含む我々が気付いていない何かを守ろうと巨人たちは警鐘を鳴らすべく、天まで届く壁をこしらえたに違いない」
撮り下ろし写真6枚を掲載しています。
新納 翔 プロフィール
1982年 横浜生まれ
2001年 麻布学園卒業
2002年 早稲田大学理工学部応用物理学科入学
2006年 同大学中退
2009年 Gallery Niepceのメンバーに参加(-2010)
2012年 川崎市市民ミュージアムにて写真講座の講師を務める
個展
道脈 (Gallery Niepce,Tokyo 2006.6)
横浜遥か近景 (Garellia Q,Tokyo 2007.9)
Out Line (Garellia Q,Tokyo 2008.2)
Dystopia Nippon (Gallery Niepce,Tokyo 2009.2)
山谷Now (Gallery Niepce,Tokyo 2009.6)
道脈 #2 (Gallery Niepce,Tokyo 2009.8)
Dystopia Nippon #2 (Gallery Niepce,Tokyo 2010.1)
道脈 #3 (Gallery Niepce,Tokyo2010.4)
NoSunnyDays (Gallery Niepce,Tokyo 2010.9)
山谷 (Zen Foto Gallery, 北京 2011.1)
Tokyo Foto (from LibroArte 2012.9)
帳場カメラマンが見た山谷 (広島大学 2012.10)
NoFoundPhotography(Paris, 2012.11)
築地0景 (ふげん社、東京 2015,6)
グループ展
vs. Station by Dystopia Photographers (Gallery Niepce 2009.9)
Spicilegium Amecitiae (Totem Pole Photo Gallery 2010.11)
Spicilegium Amecitiae (Totem Pole Photo Gallery 2011)
The Histoic Future 8.4 Yokohama 新納翔×下平竜矢 (大蔵寺 唯摩堂、神奈川)
出版物
山谷 (2010 Zen Foto Gallery)
Another Side (2012 LibroArte)
築地0景 (2015 ふげん社)