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[築地の人びと]第二回 築地の“おかあさん”「天まめ」

こんにちは。おひさしぶりです。ふげん社店主・関根です。

昨年末に始まったHP連載「築地の人びと」の第二回です。

「築地の人びと」では、築地で暮らす人びとやお店にスポットをあて、その人やお店にまつわるストーリーをご紹介していきます。この連載を通して、地元の方々にとっても、築地をよく知らない方々にとっても、築地という土地が、みなさんの中でより身近なものになっていくことを願います。

 

一月に一回の更新が目標でしたが、初回からずいぶんと時間が空いてしまいましたことをお許しください。(→第一回 地元で100年愛されるパン屋「築地木村家」)

 

 

さて、第二回は、“寒天”屋「天まめ」さんをご紹介します。

なぜ寒天に“カッコ”が付いているのかは、後ほど種明かしいたします。

 

「天まめ」は、築地木村家から聖路加通りを銀座方面に歩いて30秒、築地八竹の角を右に曲がった小さな路地にあります。

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八竹前に置いてある看板

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天まめは、路地にあります

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お店構えはこんな感じです

 

店に入ると、店主の藤田圭子さんと、女性のスタッフの方がお出迎えしてくださいます。店内は、さわやかで清潔な明るい空間です。

カウンター4席と、2人掛けのテーブル席が1つあります。こじんまりとした店内ですが、オープンキッチンのためか、不思議と息苦しさを感じさせません。

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注文待ちのあいだも、店主の藤田さんが気さくに話しかけてくださいます。アットホームな空気が店内に流れており、隣り合ったお客様との会話が自然と弾みます。「天まめ」に行くと毎回、そこで出会った人と、楽しくお話しして帰ります。

 

天まめの看板メニューは、屋号をそのままとって「てんまめ」(780円)。

こちらは“寒天”の上にいろいろなお豆がのっていて、黒蜜をかけて食べる、いわゆる「豆かん」となっています。(きな粉は、お好みでかけます。)

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天まめの看板商品「てんまめ」

 

しかし、天まめさんで提供されている“寒天”は、一般的な寒天とは一味違います。

違いは、その製法にあります。

一般的な寒天は、

 

1.天草を煮出す

↓

2.しぼる

↓

3. 固める

↓

4.長野や京都など、寒暖差の激しい場所で寒ざらしをする

↓

5.棒寒天や糸寒天にする

 

という手順で作られます。

 

 

しかし天まめさんの“寒天”は、上記の4番目におこなう寒ざらしを行いません。この寒ざらしする前の“寒天”は通常、「ところ天」や「生寒天」と呼ばれています。一般的な寒天は、「寒」ざらしをした、ところ「天」なので「寒天」という名前がついています。

 

寒ざらしをしない「生寒天」は、天草の風味が飛びません。天まめさんの「海をかためて召し上がれ」というキャッチコピーが、その製法やお味を体現していると言えるでしょう。

 

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煮出す前の天草もディスプレイしてあります

天まめの“寒天”は、神津島産の天草を使用しています。店内にも、その黄金色の天草がディスプレイしてあります。海の中では黒い天草ですが、何度も天日干しをすると、綺麗な黄金色になるそう。これを煮出すと、透明になります。天まめでは、天草を煮出すところから、すべて自家製造しています。営業時間中も常に生寒天やお豆の下ごしらえをしています。煮出した天草を熱いまま手で絞る、という作業は特に苦労するそう。

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てんまめに付くピクルス

 

「てんまめ」を注文すると、まず前菜として、ピクルスが出されます。甘味処でピクルスが出され、意表をつかれる方も多いのではないでしょうか。

これには、店主・藤田さんの「“寒天”を食事代わりにしてほしい」という思いが込められています。天まめでは、“寒天”は食事のあとに出されるスイーツでもなく、間食としてのスイーツでもなく、一日の三回の食事のひとつとしてほしいという思いで提供されています。だから、天まめの“寒天”は、程よい固さと弾力があり、口に含むと透明な立方体ひとつひとつが存在感を放っています。その量も多く、お皿にこんもりと盛られており、食べるとお腹がいっぱいになります。

 

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けんちんセットに出される前菜

また、ピクルスが出されるわけは、野菜が血糖値の上昇の抑制することや、酢が疲れを取るという効能をもっていることからきているそうです。

このように、天まめの食事はお客様の身体を第一に考えた、無添加の優しい自家製料理を出しています。

素材へのこだわりも人一倍あり、上記で述べたように、天草は神津島産の最高級の天草を使用しています。神津島へ赴き、現地の生産者に会って直接仕入れを交渉したそう。黒砂糖は、石垣島から二三時間の場所に位置する波照間島産のものです。

 

このように栄養バランスを考慮した食事を提供できるわけは、店主の藤田さんが栄養士であることも大きいでしょう。

藤田さんはもともと英会話教室の関東圏の支社で働かれていました。そこで働きながら、子供たち、ひいては家族の形が変容していっているということに気づいたそうです。子供の体力不足や個食という社会現象を、教育の現場で目の当たりにした藤田さんは、一念発起して退社し、栄養士を目指すため栄養学校へ通い始めます。

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ランチタイムの数量限定メニューけんちんセット(¥880)

けんちんセットにももちろんミニ生寒天がつきます。

けんちんセットにももちろんミニ生寒天がつきます。

 

栄養士の資格を取ってから3年間は病院勤めをされ、「栄養士として人々に直接、食を伝えたい」という思いから、個人でお店を持つことを考え始めます。開店準備に2年間を費やし、二年前に天まめをオープンしたそうです。

 

お店の場所を築地に選んだわけは、多種多様な業種の人々が築地で働いているから。築地には、魚河岸で働く人、病院で働く人、新聞社で働く人、役所で働く人…いろいろなお仕事をする人が集まっていることに加えて、国際色も豊かです。多様な生活リズムを送っている人々に、広く、食の大切さを伝えられる契機が生まれます。仕事内容によって働く時間帯がバラバラであるため、天まめは、朝の7時から夜の7時までというロングタイムで営業をしています。多忙で不規則な生活を送る人も多く、食事のタイミングを逃した人が気軽に立ち寄れる店として、たいへん重宝されています。

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食べログの東京ベストスイーツ2014で37位にランクイン!

食の大切さを人々に伝えたい・人々の食の意識を変えたいという思いで始めたお店で、なぜ、生寒天を扱うことにしたのでしょうか。それは、寒天のデトックス作用にあります。

藤田さんは、「人々が何をどう摂取するか」をコントロールすることではなく、「いかに摂取したものを“出す”か」に着眼しました。寒天には毒だしの効果があります。添加物に溢れたコンビニのお弁当を食べても、一日のどこかで天まめの生寒天を食べれば、身体が洗浄されます。また、寒天は腹持ちがよくカロリーもありませんので、体型に気を使われている方にもぴったりの食材です。私はその話を聞いて、毎日天まめに通ってデトックスしたくなりました。

 

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ところてんを出す道具

藤田さんは幼少期から、お母様がおうちで寒天などいろいろな食事を作られているのを近くで見ていたそうです。ちなみにご実家は御徒町にあるてんぷら屋さんだそうで、お兄様は新富町で「天朝」というてんぷら屋さんを営んでいるそうです。

閑話休題。そのようなお母様のもとに育った藤田さんは、「安全な食材を使って、手作りで、身体にいいものを食べる」という食生活が自然と身についていたのではないでしょうか。つまり、天まめのルーツは、母の味、家庭料理なのです。

現代の食の問題は根深く、「母親が手料理を作る」「家族が揃って食事をとる」という、かつては当たり前だったことがされなくなってきました。身体に良い美味しいものを食べるということは、精神的な豊かさにもつながります。そのような人生の「基礎」を伝える家庭料理の重要性というものを、藤田さんのお話から改めて思い知ることとなりました。

 

日本の食を支える築地の一角で、「良い食は、人を良くする」ということを、手作りの生寒天を働く人々に提供しながら伝え続けている天まめさんは、築地の“おかあさん”と言えるのではないでしょうか。天まめに帰れば、自家製の生寒天とともに、いつでもあたたかくあなたを迎え入れてくれることでしょう。

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天まめ店主・藤田さん(左)と、スタッフの方

 

 

天まめ

営業時間7:00~19:00(定休日:日曜日)

東京都中央区築地2-8-1 築地永谷タウンプラザ 107

TEL: 03-6264-0782

 

 

東京メトロ日比谷線築地駅4番出口より徒歩2分。

お持ち帰りもできます。

テイクアウト可

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美味しい博多水炊きのお店「新三浦ガーデン」のあるビルの2Fになります。

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