新納翔 写真展「築地0景」
築地0景展は2015年6月27日に終了しましたが、展覧会会場で販売した写真集やオリジナルプリントは、STOREページや店頭にて、現在も販売しております。(2015.11.16)
最終更新日:2015.6.4.
新納 翔 写真展「築地0景」
--“消えてゼロになってしまうこの景色、ゼロから作られる景色、せめてでも写真として保存しておくことが、私が次世代へ残すことができる唯一の仕事であると考える。”(新納翔)
失われていく風景をとらえつづけてきた写真家・新納翔が、2016年移転予定の築地市場を取材した新作を発表展示・販売いたします。会期中には、『築地0景』写真集も限定生産で販売します。
◆開催概要
新納 翔 写真展「築地0景」
会期
6月9日(火)〜6月27日(土)
13:00-19:00 入場無料 (日・月・祝 休)
会場
ふげん社
東京都中央区築地1丁目8-4 築地ガーデンビル2F
03-6264-3665
<写真集300部限定発売!!>

写真集”Tsukiji Zero”見本
新納 翔 写真集 ”Tsukiji Zero”
32頁、中綴じ、B5サイズ
カバー、帯付き
執筆:飯沢耕太郎(写真評論家)
高級用紙ヴァンヌーボ使用
エディションつき、写真家サイン入り
¥2,000(税込)
ぜひお手にとってご覧ください。
ふげん社写真展会場にて販売いたします。
★限定部数生産のため、写真集のご予約を承っております。
遠方の方や、写真展期間中ご都合の悪い方の中で、ご購入希望の方には、ご郵送も承っております。
その場合、2,500円(写真集2,000円+送料・手数料)を指定の口座へお振り込みいただいた後に、レターパックでのご発送となります。
会場にてお取り置きor郵送希望 どちらか、その旨メールにご入力ください。
info@fugensha.jp (cc:nero@bw.jpn.org)宛、
件名は「築地0景写真集予約」で
・お名前
・ご連絡先(メールアドレス、電話番号)
・ご予約部数
・会場にてお取り置きor郵送希望 いずれかを表記
・ご送付先(通販ご希望の方のみ)
を本文に添えて送ってください。宜しくお願い申し上げます。
◆写真展関連イベント
・6月9日(火)18:00〜 オープニングパーティ
・6月20日(土)13:30〜15:00(13:00開場) ギャラリートーク
鼎談 『目、舌、足が語る築地』
新納翔(写真家)×渡邊博光(築地食べ歩きの達人)×佐藤洋一(早稲田大学教授 都市形成史専門)
各方面のスペシャリストをお迎えして、複合的な視点から築地を考えます。
会場:ふげん社 写真展会場
参加費:ドリンク代500円(ご予約は不要です。当日受付にてお支払いください。)
ゲストプロフィール:
渡邊 博光(わたなべ・ひろみつ)
1967年千葉生まれ
土木関係のエンジニア。一級土木施工管理技士。
築地案内・食べ歩きのスペシャリスト。毎週築地で食べ歩いており、これまで足を運んだ店舗の数はなんと562店(2015年5月現在)!通称「なべひろ」さんとして、築地の人々から親しまれている。2015年1月、TBS『マツコの知らない世界』に出演。
著書に、奥様である漫画家・おざわゆきさんとの共著『築地はらぺこ回遊記』、『築地まんぷく回遊記』(ぶんか社刊)がある。
佐藤 洋一(さとう・よういち)
1966年東京生まれ
早稲田大学理工学部建築学科、同大学院博士課程修了。
早稲田大学芸術学校空間映像科教員を経て、2010年から同大学社会科学部教授。
自身が指導する空間映像研究ゼミナールにおいて、昨年7月より築地市場を取材し、歴史、物流、建築など多様な角度から記録をしている。築地のフィールドワークの研究発表として、今年2月にResearch&Project 2015展、4月には築地市場内の東卸会館にて成果を発表した。
◆印刷会社としての試み

2015.6.3.写真集印刷立会い(弊社工場にて)
今回の展示作品、写真集、DMの制作は、ふげん社を運営する印刷会社が担当しています。
この写真展は、「写真を紙で表現する」ことの面白さも追求するものとなっています。下記FBイベントページや、ふげん社のinstagramに、写真展へ向けて 制作過程をアップしていきます。お楽しみに!
制作日誌をFBページにて公開しました。下に表示されない場合はこちら。(2015.6.4)
◆共同開催コンペ展示
【instagramers Japan 共同企画】新納翔が選ぶ 残したい風景 コンペティション
今回の個展に併せ、インスタグラム日本最大のユーザーグループ”instagramers Japan”との共同企画
「新納翔が選ぶ 残したい風景 コンペティション」が開催決定いたしました。
開催期間:5月20日(水)~29日(金)
お題:「残したい風景」
★築地の写真である必要はありません★
参加方法:
・Instagramに「#IGersJP」「#tsukiji_zero」のダブルタグで投稿してください
・facebookでも同時開催します!facebookのIGersJPページに、「#IGersJP」「#tsukiji_zero」のダブルタグで投稿してください。
優秀作品10点は、会場にて展示販売を行います。
みなさまふるってご応募ください。→詳しくはこちら
ご応募は終了いたしました。ありがとうございました。
◆作品販売
当写真展では、展示作品を販売しております。
・水性インクジェットプリンター「プルーフマスター」で出力
・額サイズ:16インチ×20インチ
・作品サイズ:11インチ×14インチ
・価格: 額入り 75,000円(税込)、プリントのみ 60,000円(税込)
・送料:1,500円(税込)
・納期:会期終了後、準備が出来次第ご発送いたします。
ご購入希望の方は、info@fugensha.jpまでメールいただくか、03-6264-3665までお電話ください。よろしくお願いします。
◆新納 翔(写真家)プロフィール
1982年 横浜生まれ
2001年 麻布学園卒業
2002年 早稲田大学理工学部応用物理学科入学
2006年 同大学中退
2009年 Gallery Niepceのメンバーに参加(-2010)
2012年 川崎市市民ミュージアムにて写真講座の講師を務める
個展
道脈 (Gallery Niepce,Tokyo 2006.6)
横浜遥か近景 (Garellia Q,Tokyo 2007.9)
Out Line (Garellia Q,Tokyo 2008.2)
Dystopia Nippon (Gallery Niepce,Tokyo 2009.2)
山谷Now (Gallery Niepce,Tokyo 2009.6)
道脈 #2 (Gallery Niepce,Tokyo 2009.8)
Dystopia Nippon #2 (Gallery Niepce,Tokyo 2010.1)
道脈 #3 (Gallery Niepce,Tokyo2010.4)
NoSunnyDays (Gallery Niepce,Tokyo 2010.9)
山谷 (Zen Foto Gallery, 北京 2011.1)
Tokyo Foto (from LibroArte 2012.9)
帳場カメラマンが見た山谷 (広島大学 2012.10)
NoFoundPhotography(Paris, 2012.11)
グループ展
vs. Station by Dystopia Photographers (Gallery Niepce 2009.9)
Spicilegium Amecitiae (Totem Pole Photo Gallery 2010.11)
Spicilegium Amecitiae (Totem Pole Photo Gallery 2011)
The Histoic Future 8.4 Yokohama 新納翔×下平竜矢 (大蔵寺 唯摩堂、神奈川)
出版物
山谷 (2010 Zen Foto Gallery)
Another Side (2012 LibroArte)
新納翔氏は、大学受験勉強中に図書館で何気なく手にとった奈良原一高の写真集『人間の土地』を見て衝撃を受け、写真家を目指すことになります。
新納氏の代表作は、日本の三大ドヤ街のひとつ、東京・山谷の失われていく風景を記録した写真作品群です。7年間かけて簡易宿泊所の帳場に勤めながら、山谷をとらえたものです。こちらの作品は、写真集 Another Side(リブロアルテ)に収められています。(会場でも販売しております。)
現在新納氏は、築地市場の移転に伴う再開発の動きに着目し、「ゼロに戻っていく風景」「ゼロからまた生まれる風景」をテーマに、築地市場を記録しています。山谷取材時の「コミュニティの内側に入り込んで被写体をとらえる」というポリシーはそのまま、市場内で働きながら撮影を進めています。
市場の撮影を始めて早1年、日々刻々と移転に向けて動いている築地市場の「今」を記録した、荒っぽく生々しい景色を、みなさまの目に焼き付けていただきたいです。この写真展を経て、日々変化し続けているであろうみなさんの身の回りの都市風景を、また違った視点からとらえなおす機会となれば幸いです。
山谷を撮影していて常に感じたのは、いわゆる「ドヤ街」としての顔を見ることが出来なかったことである。それは1980年代には既になくなってしまったのだが。若い労働者、荒っぽい言葉が行き交うものの生の匂いがするもの。私には山谷で捉えられなかったものを築地で感じたのだ。補間、と言ってもいいのかもしれない。
いつの時代も再開発というものは見えないところで着々と進んで行くものだ。かつてあった景色は忘れられ、名残り惜しまれた声もすぐに聞かれなくなる。無形のものを楽しみ、憂う精神はいつのまにか日本人の中から消えてしまったのであろうか。
築地という街は時代と共に様々な貌を持って来た。明治時代、築地には外国人居留地が置かれ横浜と並んでハイカラな街であった。当時の面影は東京大空襲を免れたおかげで、市場周辺に見ることができる。
築地が現在のように「市場の街」になったのは、関東大震災による都市再生計画に期を発する。江戸時代からの歴史と伝統を引き継いで来た日本橋の魚河岸を移転させることはまさに国家的プロジェクトであった。
新都市東京にふさわしい復興のシンボルとして、1933年に開場して以来、我々の食をずっと支えて、中央卸売市場として大切な役割を果たして来たのだ。築地市場の400メートルにわたりカーブをえがく独特の形は、当時としては世界に類を見ない鉄骨建築物であった。
市場で話を聞くに、皆が皆移転を快く受け入れているわけではないようだ。移転を期に店じまいをする人や、仕方ないと割り切るしかないと語る人もいる。
老朽化が進み様々な問題が山積する築地市場に移転という選択肢しかなかったのかは誰もが思うところであろうが、一つ言えることは、80年に渡って築地にあった市場を見る事ができるのは今が最後だということだ。
消えてゼロになってしまうこの景色、ゼロから作られる景色、せめてでも写真として保存しておくことが、私が次世代へ残すことができる唯一の仕事であると考える。(築地0景に寄せて、新納 翔)
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